トレードオン思考は不可欠
トレードオンは、相反していて両立させることが困難な複数の課題を、新しい価値を見出すことで複数の対立課題を解決する考え方です。例えば、時間外労働が多いので残業時間を減らして経費圧縮と生産性UPを図りたい企業と、少ない給料を残業手当で補おうとする社員の関係です。これをどうすればトレードオンにできるのか。 事例として—AIとロボットを導入して生産性UPと労働時間を減少させる。社員は残業が減るが、新しい技術とノウハウを学べ、かつ、改善した収益の一部を給与アップに反映してもらえて、企業も社員もWinWinの「働き方改革」になる。
一方、トレードオフとは、何かを得る時に別の何かを犠牲にするという意味です。SDGs視点でいうと、たとえば、経済発展が招いた環境危機---先進国が経済発展にまい進した結果、地球温暖化を招き、氷河の後退によるメタンガスの噴出や未知なる恐怖のウイルス出現、南西諸島国の沈没の危機、熱波・巨大台風など異常気象による甚大な被害、農作物/海洋資源の異変などが一つの事例です。
また、ガソリン車から電気や水素自動車製造にシフトしてCO2削減を図ることはSDGsにかなうことですが、1/3の部品で作れる構造のため、ガソリン自動車製造にかかわる人たちの雇用や所得に大きな影響を及ぼします。 SDGsは、このような相反する課題を解決し、社会問題解決による企業発展を叶えるという難題「トレードオン」を企業に要請しています。日本流に言い換えると、三方よしならぬ、五方よし(社会/環境/消費者/社員/株主)ですね。ハードルの高い「トレードオン」にみえますが、見方を変える、価値観を逆転化する、視差を高くして思考するなどでトレードオンが見えてきます。
トレードオンの手法やヒントを当社のセミナーやワークショップで提供しています。
